これで十分。

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イギリスのハロウィン事情

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数年前、ハロウィンをロンドンで体験しました。

第一印象は、「日本のハロウィンと似ている!」でした。

つまり、「ただ仮装して、はめをはずすイベント」という点で同じなんです。

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ロンドンでのハロウィン・ナイト

当時大学院生だったので、ハロウィンの夜は友人と大学の学生組合が主催するハロウィン・パーティに参加しました。

パーティはたしか夜の8時から。参加者は若い学部生(18〜19歳くらい)が多かったです。彼らにしてみれば、親元を離れてロンドンの大学に入学して、ちょうど1ヶ月がたったくらいの時期。照れくさそうにコスチュームを着てて何だかとても微笑ましかったです。彼らは基本的にシャイなので「今日は仮装してはめをはずすぞ!」という初々しい興奮が漂っていました。イギリス人のシャイさについては過去記事にも書いています。

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パーティではお酒を飲んで、踊ったり、しゃべったり、とみんな楽しそうに過ごしていました。カラオケ大会も開催されており、ステージで歌った人は飲み物1杯無料券が貰えました。結構たくさんの人が立候補してステージで歌っていたのですが、欧米人は軒並みカラオケがへたくそ!日本のようにカラオケ・ボックスがあちこちにあるわけではないので、練習する場がないんですね。

私と友人は1時間半くらいで引き上げ、学生寮で二次会をしていたので、パーティ自体がどのような盛り上がりをみせたのかは分かりません。翌朝は道にパーティのゴミが溢れていました。「祭りの後」感も日本と同じ!

 

イギリスのハロウィン事情

そもそもハロウィンはイギリスのお隣、アイルランドが起源のようです。しかしイギリスにはハロウィン文化は根付かなかったみたいです。アメリカ式ハロウィンが入ってきたのはここ10年くらいとのこと。

面白いのは、10月31日に祝うハロウィンがイギリスに入ってきた影響で、イギリスで11月5日に祝われていた「ボンファイア・ナイト」という行事がなくなりかけているということです。

「ボンファイア・ナイト」は「ガイフォークス・ナイト」とも呼ばれています。行事の起源は以下の通り。

1605年11月5日、ガイ・フォークスとその一味のカトリック教徒が、時の国王ジェームズ1世と議員たちを殺すために、上院議場の下まで坑道を掘り、開会式の行われる11月5日(グレゴリオ暦11月15日)に爆破しようとしたが、寸前で発覚し、主謀者はロンドン塔に送られ、翌年1月31日(2月10日)に処刑された。
この事件を記念するため、ガイ・フォークスと呼ぶ人形を作って、町中を一日中引き回し、夜になって焼きすてる風習が生れた。
今は人形の方はすたれたが、昼間からかんしゃく玉花火を盛んに爆発させて、日が暮れると大かがりに火をたく。

(引用元:ガイ・フォークス・ナイト - Wikipedia

このボンファイア・ナイトが、ハロウィンのせいでイギリスで消えつつあるそうです。このことは、日本滞在経験の長いジャーナリスト、コリン・ジョイスさんの『「イギリス社会」入門』という新書本に書かれています。以下、長くなりますが引用。

ボンファイア・ナイトが近づくと、子どもたちは金を集めることができた。古い服にわらを詰め込んで人がたを作り、それを荷車に乗せ、「このガイにペニーを」と言いながら街を歩く。

ぼくが子どものころには、ボンファイア・ナイトに花火もあげるようになった(だからイギリスでは花火は冬のものだ)。ハロウィーンはたとえ祝われていたとしても、その1週間ほど前にやって来るどうでもいい行事だった(ボンファイア・ナイトと違って、イギリスではハロウィーンが正確に何月何日なのか誰も覚えていなかった)。

子どものころ、ぼくはボンファイア・ナイトがとても楽しみだった。公園で花火を見ながらリンゴあめを食べられるし、暗い11月を明るくする陽気な雰囲気があった。それでもぼくは数百年前に起きた事件とのつながりを感じていたし、議事堂で王様が殺されたかもしれないと考えると身震いがした。

ボンファイア・ナイトは80年代前半からすたれはじめた。最初はゆっくりとだった。きっかけとなったのは映画『E.T.』の公開だともいわれる。

この映画ではアメリカの子どもたちが、ハロウィーンの仮装をして町を歩いていた。大人たちに何かをねだるのではなく、「トリック・オア・トリート」という言葉でお菓子をきちんと要求する。世界のどこへ行っても子どもはお菓子が好きだし、仮装をするのが大好きだ。

こうしてボンファイア・ナイトはすたれ、ハロウィーンが盛んになるという流れが避けられないものになった。二つの行事の日付がもっと離れていたら、人々は両方を祝ったかもしれない。しかしこれだけ接近していると、どちらかが消えるのは仕方がない。そして悲しいかな、イギリスの伝統が輸入ものの伝統に取って代わられようとしている。

(引用元:コリン・ジョイス(2011年)『「イギリス社会」入門:日本人に伝えたい本当の英国』NHK出版新書)

本当にボンファイア・ナイトがハロウィンにとって代わられたのかは疑問です。私がロンドンに滞在していた時も、ボンファイア・ナイトの花火はあったし、たまたまボンファイアの前日にイギリスの田舎に小旅行した時、ボンファイア・ナイトのお祭り会場を準備をしている光景にもでくわしました。ですが、それも過去に比べると縮小してきているのかもしれませんね。

ハロウィンの破壊力、恐るべし。

 

現代のイギリスの社会事情を知るのに超オススメの一冊です!

「イギリス社会」入門―日本人に伝えたい本当の英国 (NHK出版新書 354)

また、著者のジョイスさんのコラムがNewsweek日本版のサイトで読めます。イギリスのEU離脱(ブレクジット)やスコットランド独立についてのイギリス国民の情況を知ることができてとても興味深いです。

Edge of Europe | コラム | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト

 

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